【オリンピック招致決議・趣旨説明(自民党)】
私は、提案者を代表して、「第31回オリンピック競技大会の東京招致に関する決議(案)」について、趣旨説明をいたします。
かえりみますに、オリンピックの東京招致に関する議会の取組は古く、戦前のベルリン大会に続く、第12回大会については、当時の東京市会において、昭和6年、開催の建議を議決しました。その結果、1940年(昭和15年)秋の開催決定を見ましたが、その後の対外的諸般の状況悪化ということにより中止の止むなきに至りました。
第18回オリンピツクの報告書の一文を読まさせていただきます。第17回大会幸候補の項にこう書かれてあります。「長い連合国軍による占領行政は終わり、1952年(昭和27年)4月講和条約の発効とともに、まがりなりにも我が国は独立することになった。そしてこの年5月、当時の東京都知事、安井誠一郎は、平和回復と国際舞台に復帰した日本の本当の姿、真に平和を希求している日本人の素朴な姿を、いかにすれば世界の人々に理解してもらえるか、ややもすれば、希望を失いがちである青少年に、どうすれば明るい曙光(しょこう)を与えることができるかと熟考した結果、オリンピック大会を東京に招致して開催することが、最も望ましいものであり、かつ、かつて東京市時代、第12回大会を招致しながら、返上しなければならなかったことから、オリンピック大会はぜがひでも招致して、国際信義に報いなければならないという固い決意をした。そして、日本体育協会の首脳と相談した上で、東京都議会の了承を得て、第17回大会の東京招致の表明をした。
東京都議会も、この安井表明に対して超党派で賛意を表し、同年5月19日、第17回オリンピック大会を東京都に招致する決議案を全会一致で決議した。」とあります。
安井知事の胸の内には、東京都知事として首都東京の再建と日本国民の自信の回復を何としてもせねばならぬという強い決意を持っていたと言われております。
東京大空襲、そして敗戦、何とそのわずか7年後に、オリンピックの招致を決議した我ら都議会の先人の卓越した先見性、焼け野原になった首都東京の再建に向けた情熱、都民に少しでも豊かで平和な暮らしをと思う都議会議員としての責務を、我々は学ばねばならないと思うのであります。
都議会と執行機関が一団となって招致運動を行った結果、昭和34年に見事、開催都市の栄誉を勝ち取り、昭和39年の東京オリンピックに至るのであります。
かくして、我が国の戦後復興の象徴として、また恒久平和の証として、世界を結ぶオリンピックの旗が、東京の空にひるがえったのであります。東京オリンピックは、多くの国民に感動と自信を与え、生まれ変わった首都東京の姿を世界に強くアピ一ルしました。オリンピックを契機に、東京は更なる発展を続け、政治、経済、文化が高密度に集積する世界に類を見ない大都市になったことは周知の事実です。
しかし、バブル崩壊から15年、今、日本は、政治、経済、杜会の全てにおいて、その目ざすべき道標を見失っています。日本全体に漂う閉塞感から脱出できずにおります。
そんな中、今定例会の初日、石原知事は施政方針のなかで、「日本の底力と成熟都市・東京の存在を世界に対してはっきりと示すために、2016年の東京オリンピック開催を目指す」と力強く宣言されました。
再びオリンピックを東京にと願う知事の心に、かつての安井誠一郎知事の首都東京と日本を思う心に通じるものを私は感じるのであります。 21世紀は、「都市の世紀」とも「環境の世紀」とも呼ばれています。地球の人口の多くが都市に住み、都市生活そのものが環境への負荷となり、また、治安の悪化、インナーシティ問題など、都市は多くの課題を抱えています。このため、人類の叡智と創意工夫により、都市問題の解決を図っていくことが、今、強く求められております。
都市問題を解決すること、そのことなくして、人類は、次の世代に住みよい地球を引き継いでいくことはできません。だからこそ、オリンピックを、「都市の世紀」と呼ばれる21世紀において、世界有数の大都市東京で開催し、都市問題の解決につなげていくことが大切であるといえるでしょう。東京にはその力があります。
緑の地球は、未来をになう子どもたちのものです。オリンピックで繰り広げられる、世界のアスリートたちの崇高な競い合いは、必ずや、子どもたちに感動を与え、目標に向かって努力する大切さ、すばらしさを実感してもらうことができるでしょう。栄光は、たゆまぬ努力と自分を信じる強い心の上に輝きます。トリノオリンピックの金メダリスト荒川静香選手の活躍などが、それを証明してくれています。
オリンピックは、また、スポーツを通じて青少年の健やかな成長を促していくでしょう。
未来をになう子どもたちに、平和で美しい緑の地球を引き継いでいきたい、そういう思いから、我々は、先人に負けぬ強い決断のもと、東京オリンピックを是非実現したい、と考えております。
「21世紀型の新しい都市テデル」を世界に発信する、「世界一コンパクトな大会」、「環境フレンドリーな大会」など、今回提示された基本コンセプトは、我々がかねてより主張してきた「都市の世紀、環境の世紀」であるこの21世紀に最も相応しいオリンピックの姿であり、我々の考え方と軌を一にするものであります。
また、国際的な都市間競争に遅れを取ることなく、東京においても21世紀に相応しい都市の姿を再構築する必要もあるのであります。
もとより、オリンピックは、世界の国々が競い合う、喜びと希望に満ちたスポーツの祭典であり、世界平和を希求する人類の祭典です。世界は今、予期せぬ大規模災害の発生や、文明の衝突とも言うべき紛争の続発に絶えずさらされていますが、東京は、関東大震災という大災害と、東京大空襲という未曾有の戦災から、二度までも不死鳥の如く立ち直った歴史を持っております。そして、この60年間、一度も戦火を交えていない、世界に誇るべき平和国家・日本の首都として、その存在感を示しております。オリンピック憲章の下、我々東京都議会は、今後とも、知事と二人三脚でオリンピックの東京招致に全力で取り組んでいく決意を表明し、趣旨説明とさせていただきます。









